エピソード

episode12-1
親友が三十路になりまして。

五月二十日は親友Kちんの誕生日である。
Kちんは千葉ちゃんより一足お先に、二十代にサヨナラをして、三十代とコンニチハをした。
Kちんは高校時代の同級生である。
高校の同級生がまさか三十歳になるなんて、千葉ちゃんは少しも想像していなかったので、若干、いやかなり動揺してしまった。

いまから十数年前、千葉ちゃんとKちんは花の女子高生であった。
『女子高生』というブランドを纏ったピチピチのティーンだった。
バーバリーのマフラーを巻き、ポロのベストを着て、ひざ丈スカートの腰の部分を何重にも折ってミニスカートにアレンジし、ルーズソックスをソックタッチで留め、汚れたハルタのローファーを履いた。
意味のない自信に溢れ、世の中に怖いモノなど何一つないという顔で、大通り公園やすすきのを闊歩していた。

そんなKちんが、三十歳になった……。
千葉ちゃんは今さらながら、改めて気がつかされた。
『時間は止めることが出来ないのだ!』

千葉ちゃんは約五ヶ月後に三十代にコンニチワをする自分を想像してみた。
この調子で行くと、千葉ちゃんがひとりでその日を迎えるのは確実である。
そしてその時は既に『不滅の千葉ちゃん二十九歳』ではなくなっているので、『滅亡の千葉ちゃん三十歳』はきっと涙ながらに「寂しい」と元カレ軍団にメールを送るのである。
かなりキツイ。洗濯をして縮んでしまったスキニージーンズのウエストよりキツイ。
まあでも、まだ五ヶ月あるので、その短期間の内に千葉ちゃんを祝ってくれる人が現れないと決まったワケではないので、あまりネガティブなことは考えないようにする。

 

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