episode17-1 29歳、占いに頼る
七月某日。
千葉ちゃんは新宿区のとあるマンションの一室を訪れた。
そこで千葉ちゃんを待ち受けていたのは、トルコ人のR氏(年齢不詳・男性)である。
R氏は蛍光のブルーのシャツにショッキングピンクのネクタイをしていた。しかもそのネクタイはR氏がデザインしたモノでヘンテコなマークが入っていた。長髪の髪をひとつに束ねたR氏は、何者か分からない怪しさがある。
千葉ちゃんはR氏の前に、部屋の間取りと住所が書かれた紙を置いた。
「実は引越しを考えていて」
千葉ちゃんがそう言うと、R氏は呆れたように口を開いた。
「引越しの時はメールくれれば占って返事スル言ったデショ? ワタシ初めての時必ず伝えてる、アナタにも言ったハズヨ」
そう、このR氏はトルコ人占い師なのである。
『二十九歳のクリスマス』でも宣言しているが、千葉ちゃんは『占い』が大好きである。しかし全ての占いを信じるワケではない。
信じるのは基本的に自分に都合のよいことだけ。
携帯サイトの占いで、例え蠍座がビリだとしても、ananの占いで蠍座に良いことが書かれていれば、携帯サイトのことはすっかり忘れてしまう。
しかし千葉ちゃんはR氏のことは信頼しており、基本的に良いことも悪いことも信じることにしている。まあR氏はあまり悪いことは言わないけれど。
