エピソード

episode26-1 29歳、脱ぐ!

『二十九歳の三箇日』でも書いたが、二十代の内にやっておきたいことのひとつに『ヌード写真を撮る』というモノがある。
二度と戻らない二十代のカラダを形に残しておいて、数十年後に懐かしむのだ。是非とも写真を撮って貰おう!と千葉ちゃんはやる気満々で、カメラマンの岩本さんに「タダで撮って欲しいんです❤」と交渉を進めていたが、知人からは反対の声もちらほらあった。
映画の本打ち中に、プロデューサーK氏にその話をすると、
「もしもパソコンがウイルスに感染してデータが流出したら、二度と回収できないんだよ! 色んなところに千葉ちゃんの全裸が使われるんだぜ!」
と、リアルな話をしてくれた。
確かに。それは困る。
例えば新しい仕事を受けた時、プロデューサーが千葉ちゃんの過去の作品を調べるために、インターネットで『千葉美鈴』と検索して、全裸の千葉ちゃんが出て来たら引くだろう。きっと仕事もなくなってしまう。
でも、千葉ちゃんのパソコンはウイルス感染したことないし、二十代という年代は二度と戻らないので、やっぱり写真を撮って貰いたいと想った。

やっぱり撮ってもらおう!と腹をくくったある日、知人Pさん(二十九歳・男性)に「千葉ちゃん二十代の記念に脱ぐんだ❤」と言うと、Pさんは興味津々に食いついて来た。
「俺も撮って貰いたい!」
話を聞くと、Pさんは衰える前のムキムキ筋肉を写真に残したいらしい。
「何なら顔は写さなくていいから首から下だけにして、手に水玉のハンカチ持つんだ!」
良く分からないがPさんはノリノリである。
でもなぁ、一緒に撮るのはどうかなぁ。
千葉ちゃんの頭の中には、羽賀研二と梅宮アンナのペアヌード写真集『アンナ愛の日記』が浮かんだ。
もちろんPさん的には別々に撮って貰うつもりらしいけど、分からないじゃないか、何が起こるか。
はずみでペアヌードにならないとは言いきれないし、もしそうなったら気まずいではないか。Pさんはあくまで友人である。
更に千葉ちゃんに彼氏が出来た時、『二十代の想い出として撮ったんだ❤』と写真を見せて、筋肉ムキムキのPさんが一緒に写っていては困る。
やっぱりマズイよなぁ。
スッキリしない気分のまま、後日Pさんに撮影の日取りを伝えると、残念そうな顔をした。
「その日、会社の研修旅行で東京にいないんだ」
ああ、よかった!
やっぱり千葉ちゃんひとりで脱ぐ!
千葉ちゃんは心からPさんの会社に感謝した。

 

 

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