エピソード

episode plus 1-1 30歳の永い冬

 29歳の焦燥を文字で残しておこうと始まった、超赤裸々エッセイ『不滅の千葉ちゃん29歳』は、いまから二年前の2010年の11月、千葉ちゃんが30歳を迎えるとともに終焉を迎えた。千葉ちゃんは二十代と永遠のサヨナラをし、未知なる三十代へ突入したのだ。
 もう二十代ではない。
「すみません、右も左も分からない新人だもんで」
 という言い訳なんて許されない。三十を超えたからには、脚本家としてより一層の責任を持ち、自分に厳しく、知的で素敵な女性にならないといけない。言い訳や弱音などもってのほか、「清く正しく美しく!」と心から想っていたのだ。
 そんな決意を新たにした千葉ちゃんに襲いかかったのは、いままで経験したことのない永く厳しい冬であった。
 時は2011年3月。舞台『ガールズプリズンオペラ』の脚本の仕事である。タイトルから想像出来るように、女子少年院の女の子達がオペラをするという話である。この仕事は今までの仕事の中で、群を抜いて厳しいモノになった。
 脚本の依頼を受けたのは秋である。
 企画書を作り、プロットを書き、しかし中々納得できず、一度は別企画にしようという話すら出た。演出家・Y本さんは言った。
「この企画、本当に難しいから、別のがいいんちゃう?」
 しかし千葉ちゃんはこの題材が良いと想ったので、声高らかに宣言した。
「苦労する準備は出来ていますから!」

 Y本さんは心配そうな顔を見せつつも、千葉ちゃんの覚悟を受入れ、首を縦に振ったのだった

 

 

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