episode plus 2-1 千葉ちゃん、運に翻弄される。
『運』についての話である。
千葉ちゃんは『運』というのは分類されると考えている。
例えば仕事運、恋愛運、健康運、金運、などなど。そして誰しも「私ペケペケ運だけはないんだよね」という運があるハズである。
よく財布を失くしてしまう人は財布運がないし、鍵を落とす人は鍵運がない。おっちょこちょいなのではない。運がないのだ。
いくら食生活を管理しても痩せない人はダイエット運がないし、いくら筋トレをしても筋肉がつかない人は筋肉運がない。決して体質の問題ではない。全て運のせいなのだ。
そんな千葉ちゃんは『自転車運』と『プリンタ運』がない。
まずは自転車運についてである。
あれは小学校一年生の頃であった。
千葉ちゃんが初めて買って貰った自転車は想い返すと、何ともハイセンスな代物だった。女の子用の自転車なのに全体の色が黒、ワンポイントで書かれた真っ赤な苺のマークが印象的であった。
1980年代当時は、黒は男の子の色、赤は女の子の色と決まっていた。
男の子は必ず黒いランドセルだったし、もしも女の子が黒いモノを持っていようものなら『女のくせに男みたい』と陰口をたたかれた。
しかし母・清子は固定観念が大嫌い、そしてハイセンスで型破りな人だったので、千葉ちゃんに黒い自転車を買い与えたのだ。
まだ保守的だった千葉ちゃんは、色が黒というのが恥ずかしかったが、それでも初めての自分専用の自転車に心を弾ませた。まるで世界にひとつの宝物の様に想えた。
その日は、清子が呆れるほど乗りまくった。
明日はどこに行こう。どこにでも行けそうだ。世界の果てまで、いや月まで行けそうだ。そんなことを妄想していた。
