エピソード

episode7-1
クレーマー千葉ちゃん現わる!

千葉ちゃんは基本的に、余り怒らないタイプである。
人に過度の期待をしないので、その人が期待に応えてくれなくても、気にならないのである。
例えひとりでレストランに入ってオーダーを忘れられても、出てきた料理が冷めていても、はたまた違う料理が出てきても、困惑はするが、怒りはしない。「まぁ、いっか。人間だもの」と寛容に受け止めるのである。

そんな千葉ちゃんの母・清子は人に過度の期待を抱くので、ちょっとしたこと、本当に信じられないことで怒る。ザ・クレーマーである。
例えば、某宅配会社に集荷を頼んで時間が十分でも怒ると、激怒。レストランでスープカップにヒビが入っていただけで、激怒。すぐに怒る。必ず怒る。清子を怒らすのは赤子の手を捻るほど簡単である。

そして極めつけの出来事がコレである。
まだ北海道に在住していた頃、清子は日曜の朝に某ファミリーレストランで冷麺を食べることがお気に入りだった。ある日曜、いつものように冷麺を注文。出てきた冷麺は先週のそれと味が違った。清子はすぐさま文句を言い、作りなおさせた。そして待つこと数十分。作りなおされた冷麺は、やはり先週のそれとは違う代物だった。清子は当然怒った。
「シェフかわったの? こんなの食べられないわよ。作った人呼びなさい!」
千葉ちゃんは運よくその場に居合わせなかったが、もしいたならば、顔を真っ赤にしてうつむいていただろう。
出てきたシェフはもちろんアルバイトの男の子。先週の冷麺もこの男の子が、マニュアル通りに作った代物である。その後清子がどのように怒りを納めたのか、納得して料金を支払ったのかは、誰も知らない。

清子よ、ファミレスの食事に過度の期待を抱いてはいけない。所詮はファミレスなのだ。アルバイトの男の子がマニュアル通りに冷凍の食品で作っているんだから。たまたま美味しい時もある。しかしそれは、たまたま、偶然の出来事。先週の清子は運が良かっただけなのだ。

 

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